民事信託(家族信託)について

民事信託(家族信託)という仕組みについて最近テレビや新聞で報道されています。

信託銀行で行っている信託は商事信託といわれ、主に投資信託などで資産運用(資産を増やす)を行うのが目的です。

それに対し、民事信託は財産管理方法・財産承継方法の一形態です。

では民事信託とはどういう仕組みなのでしょうか?

民事信託の仕組み

  • 民事信託には大きく分類して3種類の登場人物がいます。
  • 委託者 財産を預ける人
  • 受託者 財産を預かる人
  • 受益者 預けた財産から信託の目的にそった財産の給付を受ける人

委託者は自分の財産を信頼できる受託者に預け信託の目的にそって、受託者は受益者に財産の給付を行います。

信託の目的にもよりますが、委託者が受益者(預けた財産の給付を受ける人)になることもあります。

民事信託はどのようなときに利用できるの?

民事信託に関するテレビや新聞記事を見ていると、「家族信託(民事信託)を使えばなんでもできる!」「民事信託は万能だ」というような報道がされていることがありますが、それは間違いです。

民事信託ではできないこともたくさんあります。

そして法律にのっとった利用をしなければ、信託の目的を達成できなかったり、思わぬ課税がなされることがあります。

しかし、きちんと信託法に沿って信託契約書を作成・締結することで、今までの方法ではなしえなかった財産管理をすることが可能です。

信託利用の具体的事例

  •  親は今はまだ元気だが、将来認知機能が衰えて施設に入居したときに、自宅不動産を売却して施設利用料の足しにしたい


  • 夫婦間に子供がいないが、夫が死亡したときはとりあえず妻に家に住んでもらったり預貯金を生活費に使ってもらいたいが、妻も亡くなった時には妻の兄弟ではなく、自分の兄弟に自分の不動産や残った預貯金を相続してほしい。


  • 子供に障害があり、親が亡くなったあとの子供の生活が心配だ。


  •  妻はすでに認知症だが、自分(夫)の死亡後、信頼できる人に妻のために財産管理を任せたい。そして妻の死亡後には自分(夫)が指名した人に財産を引き継いでもらいたい。
上記以外のケースでも民事信託を利用して財産管理・財産の承継を行うことができることがあります。

民事信託が最高の手段なのか?

上記にあげた事例において、民事信託を利用することが最適の方法であるかというとそうではありません。


様々な方法があり、どの方法がその人にとって最適なのかを検討して民事信託を利用するのか、他の方法で行うのか検討を行う必要があります。


当事務所では様々な方法をメリット・デメリットの説明を行ったうえで、その方に最適な手続きをご提案いたします。